第4回 日本臨床疫学会年次学術大会
日時 | 2021年10月30日-31日 |
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場所 | Web開催 |
発表者 | 宮下淳 , 竹島太郎, 前原和平, 濱口杉大, 福原俊一 |
Young Investigator Award候補演題
新型コロナウイルス感染症パンデミックにおけるレジリエンスとアドバンス・ケア・プランニングとの関連性
宮下淳(1), 竹島太郎(1), 前原和平(1), 濱口杉大(2), 福原俊一(1)(3)
1 福島県立医科大学 白河総合診療アカデミー
2 福島県立医科大学 総合内科
3 京都大学大学院 医学研究科 地域医療システム学講座
【背景】アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning, ACP)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにおいて重要性を高めている。レジリエンスの高い人は健康不安を感じにくくストレス耐性があり、よい健康アウトカムに関連する。レジリエンスの高い人は健康行動としてACPを実践する傾向があるという仮説を検証する。
【方法】研究デザインは横断研究で、2021年7月にインターネットを用いた質問調査を行った。2015年の国勢調査の人口分布にあわせた割当法を用いて20-84歳を対象に日本全国から標本抽出を行った。日本版Brief Resilience Scale(BRS)を用いてレジリエンスの程度を測定し、COVID-19パンデミックでのACP実践をアウトカムとした。ACPに関連する社会人口学的要因に加えてCOVID-19に関するメディア情報暴露、知識、感染既往、ワクチン接種、ストレス・不安を交絡因子として、ロジスティック回帰モデルを用いて解析した。また、ストレスコーピングとACP実践の関連についても同様に解析した。
【結果】2000人の回答(応諾割合81.7%)を得た。平均年齢51.8歳(標準偏差16.7歳)、男性は979名(49.0%)、レジリエンスの程度の四分位群(BRS 6-15点; 16-18点; 19-22点; 23-30点)はそれぞれ536(26.8%)、574(28.7%)、446(22.3%)、444(22.2%)、パンデミックでのACP実践割合は187名(9.4%)であった。レジリエンスの最も高い群は、最も低い群に比べてACP実践割合は有意に高く(調整オッズ比1.90、95%信頼区間1.13-3.22)、レジリエンスが高い人ほどACP実践割合が高い傾向があった(傾向検定P < 0.02)。ストレスコーピングとして、戦略をたてることや感情的サポートを得ることはACP実践と関連がある一方で、COVID-19のことを考えないようにしたり、気持ちを落ち着かせるために酒や薬を飲んだりすることにはACP実践との関連がなかった。
【結論】逆境下で建設的なストレスコーピングが可能な人、目的志向性や感情サポートがある人はパンデミックにおいてACPを実践する傾向があった。レジリエンスの低さやストレスコーピングの仕方によってACPを行わないリスクを抽出できる可能性がある。