2021年8月11日
「白河QOL向上プロジェクト」~R5年度調査~
2024年12月25日公開
日本は世界に先駆けて超高齢社会となりました。国民の目標は、単なる延命ではなくQOL (自立して生き生きと生活できること)を維持することに変わりました。このような背景で、 白河市と、福島県立医科大学白河総合診療アカデミー、白河厚生総合病院、京都大学が共同し、2020年に「白河QOL向上プロジェクト」が開始されました。
2020年は60~75歳の白河市民約3,600名にご参加いただきました。 2021年以降は76歳以上の方々にもご参加いただき、4年目となる2023年には、約4200名の住民の皆様にご参加いただきました。
参加された皆様の健康状態、生活習慣について以下のようなことが分かりました。
(回答者は日常生活を支障なく過ごされている方が多く、かつ本事業に同意をした健康意識の高い方であることに留意をして、慎重に結果を解釈する必要があります。)
《LINE公式アカウント「QOL LINE」のご紹介》
「QOL LINE」では、今回取り上げた「健康上のお困り事」についての詳しい説明や、どうすればお困りごとを改善できるかのヒントを定期的に配信しています。また「健康で長生き」のための講演会の開催情報もお知らせします。
さらに、毎年実施するQOL向上プロジェクト調査の対象者の方は、LINEで回答いただけます。ぜひ、ご登録ください。
登録はこちら⇩ 登録に必要なグループコードは961です。
● QOL
今年は、住民の方々に「健康上のお困り事」について伺いました。病院にかかっても医師になかなか言えない10項目を選びました。調査の結果、図1にありますように、これらの問題が予想以上に多くの方々に見られることがわかりました。特に、なかなか言い出しづらい排尿や排便の問題も多くの人が持っておられます。さらに、図2にありますように、これらのお困り事は、住民のQOLに大きな負担を与えていることもわかりました。
● 運動機能セルフチェックによる要支援・要介護リスクの評価について
複数年の調査データを繋げて分析することで分かってきたこともあります。今回、R3年度の時点で要支援、要介護認定を受けていない方を対象に、R3年度の運動機能とその後2年間(R5年度調査時まで)に新たに要支援、要介護認定を受けた割合の関係を分析しました。例えば、片足立ちで足を回す運動ができる回数が減るごとに介護認定の割合が大きく上昇していました。他の運動でも同様の結果が確認されています。ご自身で簡単にできる運動テストによって将来の要介護リスクを知ることができることが分かりました。
■ 介護負担感
高齢者が配偶者を介護する場合が増えており、介護の負担が原因で体調を崩したり、うつ病を発症したりすることがあると報告されています。そこで、介護をしている方がどれくらい負担を感じているかを、多次元介護負担感尺度を使って調査しました。総合得点は44点満点で、点数が高い程、負担が大きいと解釈します。
女性の介護者の方が、男性の介護者よりも介護負担感が高いという結果でした。女性が、主な介護者としての役割を期待されることが多く、介護にかかわる時間が長くなりがちだからだと考えられます。
本事業では、白河市の皆様が健康的な生活を送れることを目標に、住民の方々の健康状態やQOLの把握、要因と疾患の発生との関連性の解明、介護予防における課題抽出とその改善方法の考案ができるよう、今後も活動を続けてまいります。引き続きご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。