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2021年8月11日

「白河QOL向上プロジェクト」~R4年度調査~

2023年12月23日公開

日本は世界に先駆けて超高齢社会となりました。国民の目標は、単なる延命ではなくQOL (自立して生き生きと生活できること)を維持することに変わりました。このような背景で、 白河市と、福島県立医科大学白河総合診療アカデミー、白河厚生総合病院、京都大学が共同し、2020年に「白河QOL向上プロジェクト」が開始されました。
2020年は60~75歳の白河市民約3,600名にご参加いただきました。2021年以降は76歳以上の方々にもご参加いただき、3年目となる2022年には、約4200名の住民の皆様にご参加いただきました。


参加された皆様の健康状態、生活習慣について以下のようなことが分かりました。

(回答者は日常生活を支障なく過ごされている方が多く、かつ本事業に同意をした健康意識の高い方であることに留意をして、慎重に結果を解釈する必要があります。)


■ 運動機能セルフチェック

本プロジェクトでは「運動機能セルフチェック(自分自身でチェックする)」という取り組みを行なっています。運動機能の低下は将来の要介護や寝たきりリスクにつながります。運動機能をご自身でチェックし、早期にリスクを発見し、早期に対処できるような仕組みを目指します。


この取り組みから以下のようなことが分かってきました。

・バランス機能と転倒

片足立ちをした状態で足を付け根から回すバランス運動ができる回数が少ないと、その後1年間に転倒する割合が非常に高いことが分かりました。転倒予防に重要なバランス機能を自分で簡単にチェックできる運動ですので、安全を確保した上でぜひ試してみてください。

・上腕・胸の筋力と転倒

膝をついた状態で行う腕立てふせができる回数が少なくなると、その後1年間に転倒する割合が非常に高くなることが分かりました。一見すると転倒とは関係なさそうな運動ですが、この腕立てふせができないということは足も含め全身の筋力が相当低下している可能性がありまる。一度試してみましょう。


● QOL

本プロジェクトでは住民の皆様のQOLを毎年評価しています。QOLとはからだや心の変調のために、いつもの仕事、家事、お付き合いなどがどの程度妨げられているかを数字で表したものです。

・年齢層ごとの3年間の推移

身体的QOLは平均的には低下し、一方で精神的QOLは改善しました。

(2020年調査時点の年齢ごとに3年間の平均値を集計. 2020年度は60~75歳が調査対象だったため、76歳以上のデータはなし.)

スコア(縦軸)の読み方
・国民平均値を50、標準偏差を10とする偏差値スコアに換算
・50以上であれば国民平均よりも良好であることを意味します


■ 地区ごとの肥満(BMI25以上)の割合

▪60-69歳では、男性は白河中央地区・大信地区、女性は表郷地区において、肥満の割合が全国の値に比べて高いことが分かりました。
▪一方70歳以上では、男女ともに五箇地区においてのみ、全国の値に比べ肥満の割合が高いことが分かりました。



■ 血圧(メタボリック症候群の診断基準:収縮期血圧130、拡張期85 mmHg以上)

解析対象は研究参加に同意した要介護度2以下であり、かつ健診を受診した健康意識の高い集団であるにもかかわらず、収縮期血圧は男女ともにメタボリック症候群の診断基準で設定された値を超える人の割合が多いことが分かりました。

本事業では、白河市の皆様が健康的な生活を送れることを目標に、住民の方々の健康状態やQOLの把握、要因と疾患の発生との関連性の解明、介護予防における課題抽出とその改善方法の考案ができるよう、今後も活動を続けてまいります。引き続きご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。